顧客生涯価値の算出と企業の意思決定支援モデルの構築
【研究キーワード】
顧客生涯価値 / 顧客関係管理(CRM) / 離脱 / 周期性 / ベイズ推定 / CRM / 顧客関係管理 / 消費者行動
【研究成果の概要】
本研究の目的は、顧客データ(購買履歴、購買以外の行動データ)から、消費者の行動をモデル化し、個人別にパラメータを推定し、その顧客が将来にわたって企業にもたらす価値-顧客生涯価値 (CLV)-を算出することである。さらにCLVの概念を拡張し、顧客を新規獲得した場合に創出されるであろう価値、さらには購買以外の非金銭的な行動(エンゲージメント)による価値を含めることによって、企業がより適切な経営判断を下せるような手法を提案したい。
昨年度は特に購買データの拡張に焦点をあてて研究を行った。阿部(2011)は、非契約型取引において、一人ひとりの購買履歴を集約したRFMデータから、行動特性(購買、取引金額、離脱)を顧客別に推定して、その生涯価値を算出した。一人の顧客から得られるRFMという3指標のみでは行動に関する情報量が絶対的に不足しているため、顧客別に特性(パラメータ)を推定するモデルでは、購買はランダムに発生するというポアソン仮定が必要であった。この仮定は、周期性のある単一カテゴリの購買には当てはまらない可能性がある。したがって、RFMデータを超えて1回1回の購買を記録した履歴データを用いて、この仮定に制約されない、周期性のある取引にも適用できる、生涯価値モデルを構築した。 研究の成果は、「周期的な購買行動に対応した顧客の生涯価値の導出と顧客維持介入戦略への応用」JIMSマーケティング・サイエンス,Vol.28,No.1,29-
48,2020年、にまとめられている。
今年度はまず、購買データが少ない顧客に対しても本モデルのパラメータ推定を可能にする手法を検討した。また、顧客の購買行動(購買、取引金額、離脱)が、顧客特性やマーケティング変数に依存するモデルを開発した。具体的には、MCMC法による階層ベイズモデルを検証中である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)