個別化医療の開発のための統計的方法論の構築とその実践に関する総合的研究
【研究分野】統計科学
【研究キーワード】
統計科学 / 社会医学 / 薬剤反応性 / 個別化医療 / 臨床試験 / 研究デザイン / 統計解析 / 診断法開発 / 統計数学
【研究成果の概要】
5年間のうち4年目にあたるR1年度は最終年度を念頭におき、これまでに行ってきた研究テーマの論文化はもとより、個別化医療の開発のための統計・機械学習の方法論の整備とその実践面の評価という視点から検討を行った。
A) 診断法の開発と評価では、前年度までに開発した階層モデルと経験ベイズ法に基づき、ベイズ因子を用いた包括的な疾患関連解析、複雑な相関構造をもつ脳画像データを用いた疾患関連解析について統計的手法の開発を行った。疾患の異質性解析では、HSIC lasso, factorization machine、各種カーネル法などの非線形モデリング解析の適用について検討した。併せて、ゲノム、トランスクリトーム、プロテームなどの多層オミックスの解析において、分子生物学上の知見を考慮した薬剤副作用予測、薬剤反応性・疾患特異性の検出・予測のためのアルゴリズムを多く開発した。
B) 診断法を用いたランダム化臨床試験では、診断法により分類される患者サブグループ別の治療効果をベイズ流事後確率で捉え、その統計的有意性を評価する枠組みを構築した(頻度論とベイズ流アプローチの融合)。また、クロスオーバーデザインなどの自己対照デザインを用いたより効率的な治療効果予測解析(検証含む)を開発した。
C) 最適な治療シーケンスの探索解析では、事例研究として救急現場における心臓波形予測に着手し、解析計画書の検討とともにデータベースの整理を行った。
以上の統計的方法論の検討に併せて、各種がん、二型糖尿病、救急など、多様な疾患領域での事例研究を行った。
【研究代表者】