ビッグデータ分析と実験の統合によるオンライン社会における場のダイナミクスの解析
【研究キーワード】
計算社会科学 / ビッグデータ解析 / デジタル実験 / ビッグデータ / マクロ社会学実験 / インターネット掲示板 / 文化資本 / センチメント分析 / 自然言語処理 / 分極化 / 社会関係資本 / 経験サンプリング / 社会関係 / メンタルヘルス
【研究成果の概要】
当該年度は、新型コロナウイルス流行により、修正した研究計画に基づいて、ビッグデータ分析とデジタル実験の統合に向けていくつかのデータ分析とデジタル実験を遂行した。まず、ビッグデータ分析については、クラウドファンディングにおけるファンディングの成否を決めるメカニズムの解明を目標とした。そこで注目したのが、感情による動員のメカニズムである。このメカニズムを明らかにするために、クラウドファンディングのミッションステートメントのテキストをセンチメント分析することで、感情とファンディングの成否の関係を明らかにし、その上でクラウドファンディングを模した実験により因果メカニズムを解明するという目標をたてた。現時点では、テキストのセンチメント分析のためのコード化スキームまで構築が終了している。また、デジタル実験は2つのテーマで行なった。一つは、デジタル世界における文化資本の社会関係資本への転換メカニズムの解明を目標とした実験である。先行研究で、SNSデータを用いて、このメカニズムの検討が行われているが、観察データから因果についての知見を引き出すことは困難である。そこで、SNSにおける友人選択を模した実験サイトを構築して、人々が、いかなる文化的な選好に基づいて、友人選択をおこなっているかについてのデータを集めた。二つ目は、インターネット掲示板における社会動学の解明に関わるマクロ社会学的実験である。パラレルワールドアプローチを採用して、ニュースに関するインターネット掲示板をさまざまなマクロ条件のもとで複数構築し、それぞれの条件の相違によって、コミュニケーションの頻度や質、攻撃性や互酬性などがどのように変化するかを調査した。これらのデータの詳細な分析は次年度に行う予定である。
【研究代表者】