社会的随伴性検出にかかわる神経基盤の発達:ハイリスク乳児との比較研究
【研究キーワード】
社会的相互作用 / fNIRS / 自閉スペクトラム症 / 随伴性 / 脳機能 / 乳幼児 / 社会認知 / 発達障害 / 社会的随伴性 / ハイリスク乳児
【研究成果の概要】
本研究は、自然状況下の対人相互作用において、社会的随伴性への発達障害ハイリスクとローリスク乳児の脳反応を比較検討し、社会的相互作用にかかわる神経基盤の定型・非定型発達過程を明らかにすることを目的とする。そのため、発達障害のリスクを持つ乳児と定型発達乳児を対象として、実際の対人相互作用における社会的および非社会的随伴性への脳反応の検討を行なっている。1年目である2021年度は、脳機能および行動データの計測に必要な機材の準備や装置の設定などの実験環境の整備を行った。特に脳機能計測では参加児と実験者が直接対面でのやりとりを行うため、新型コロナウィルス感染症対策を徹底しつつ、参加児にとってより自然な対人相互作用場面を設定することが課題であった。このため、透明マスクの導入を含めた実験手続きの検討を重ねた上で、本実験を開始した。
本年度は、約20名の参加児のデータを集めることができた。本研究はこれまで行ってきた脳機能研究を発展させたものであるため、以前に得られたデータと合わせて、すでに解析にも着手している。脳機能データについて、より適切な解析方法についての検討を進めており、その成果の一部は学会等で報告することができた。具体的には、生後6ヶ月の定型発達乳児において、社会的および非社会的随伴性に共通して右の側頭頭頂接合部(TPJ)領域の活動が増加したことから、社会的相互作用における随伴性の処理に、社会脳の一部であるとされるTPJ領域が関与していることが示された。この結果はこれまでの研究結果とも一致しており、発達初期における随伴性を伴う社会的相互作用の重要性を示唆するものである。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2021-08-30 - 2023-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)