視覚的な快不快とスリルを産み出す脳情報処理機構
【研究キーワード】
視覚 / 嗜好 / 情動 / 不快感 / 画像統計量 / 脳
【研究成果の概要】
(1) 種々の時空間周波数,空間周波数・方位バンド幅をもつ静的・動的なバンドパスノイズ刺激の気持ち悪さを決定づける特徴量を明らかにした研究成果が国際学術誌に公刊された.さらに,新たに色の効果を検討した結果,古典的な色彩調和・色嗜好研究で主張されてきた特定の色相や組み合わせに対する嗜好性は追試できないことを確認するとともに,特定の輝度・色の相関構造が一貫して気持ち悪さを引き起こすことを発見した.(2) 自然表面画像を用いて気持ち悪さ・心地よさの評価データと画像統計量の相関を解析する研究において,PS合成画像を用いて得られた結果から,不快さが低次の画像統計量によりほぼ完全に説明されるのに対して快の評価はそうではないことが明らかになった.(3) 自然表面画像に対する視覚誘発電位と気持ち悪さ・心地よさの評価との関係を分析した結果,不快さに関連する脳波成分が頭頂葉に極めて短い潜時で生じること,かつそれが低次の画像統計量に対する応答により説明されることを発見した.(4) DNNを用いて,表面画像に対する視覚誘発電位から表面の主観的な質感評価・材質カテゴリを予測・判別する技術を開発するとともに,表面画像そのものを写真のような画質で復元する技術を開発した.(5) 西洋古典絵画史上における数万の絵画作品の画像を対象に,DNNにおける種々の画像特徴量を分析して,その分布に基づく様式の判別,作品の推定製作年やおよその製作地域に基づく特徴や様式の歴史的・地理的展開の可視化,をおこなった.その結果,伝統的な美術史における分類とのおよその合致を見出す一方で,特定の作家の孤立性など意外な傾向を発見した.
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)