大規模トラッキングによる超個体創発の解明と集合知の新理論の展開
【研究キーワード】
集団知 / 機械学習 / 創発 / 生物集団 / 進化 / RNAseq / 全トラッキング / 社会性動物 / ウェブデータ
【研究成果の概要】
2021年度は、3つの生物集団を対象として、一つのモデル・シミュレーションに関する実験を、計画どおりに開始することができた。その結果、以下のような新しい発見があり、それをSWARM-AROB国際会議(1/25-27/2022) にてorganized session (0S32: Collective Intelligence in Living /Non-Living Agents) を提案し、発表することが出来た。
1.セイヨウミツバチ(Gene Robinson)とのデータを用いて、人工的な巣箱のドアの開閉の前後で、巣内のハチの労働分化が生じ、それが時間とともに役割が固定化していく様子を解析した。2.テトラヒメナをいくつかの培養容器のなかでの運動をしらべ、その運動エネルギーの分布がウェルごとに異なること、複数の個体でその分布が異なること、などを発見した。また個体が分化にともなって増殖するときの運動の変化も解析している。3.アミメアリの個体集団を餌のないウェルで飼育し、アリの運動エネルギーの分布から、個体は2つの状態に分化していることがわかった。4.1000万匹の人工の群れのモデルをシミュレートし、秩序構造を運動エネルギー(K)とVicsekの秩序パラメター(V)で特徴つけ、群れを分類した。5. Webサービスが時間とともに発展していく様子を可視化し、クラスター化を見つけ出すことができた。
全体を通じて、集団の元気さの指標として運動エネルギーを採用することを提案。運動エネルギーの分布やバースト、ウェルごとのゆらぎから、同じ遺伝子を持つ個体の集団であっても、その振る舞いは、ウェルごと(群れごと)に異なっている。また、外部からの情報(ハチならば餌場、アリならば他のクラスターの存在か、と考える)によって、集団の内部で持つ情報が変化するように思われる。運動エネルギー=元気さと、外部からの情報の関係を突き詰め、それぞれの実験の結果をまとめつつ発展させるのが、次年度の課題である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
橋本 康弘 | 会津大学 | コンピュータ理工学部 | 上級准教授 | (Kakenデータベース) |
柏木 明子 | 弘前大学 | 農学生命科学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
土畑 重人 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2024-03-31
【配分額】42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)