知識表現・推論と機械学習の統合によるロバストAIの実現
【研究キーワード】
知識表現・推論 / 機械学習 / ロバストAI
【研究成果の概要】
本研究では、機械学習(ML)と知識表現・推論(KR)の両技術を有機的に統合することで、説明可能でありロバスト性も有するような次世代AIのための技術基盤を確立する。このために、(A)KR技術の導入によるML技術の説明可能性・更新容易性の向上、(B)ML技術に支えられたロバストなKR技術の開発、(C)MLとKRの統合による画期的なAI応用、という研究目標を設定している。2021年度では、以下の進捗があった。
(A)決定木アンサンブルからの規則抽出において解集合プログラミングを用いることで、制約に応じて有用な説明規則を生成する手法を開発した。また分類器の修正を合理性の観点から遂行するために、KRの信念修正で研究されてきた合理的基準を設定し、分類器「編集」オペレータに対する構成的特徴付けを与え、基準を満たす編集オペレータの族について調べた。さらに、画像データを述語表現に変換し帰納推論を適用することで解釈可能な表現学習を実現し、分類実験において90%前後の正解率が得られた。
(B)SAT問題を行列表現し、線形空間におけるコスト関数最小化問題として定式化することによりSAT問題の解を求める方式を開発・実装した。行列計算に基づくためGPUなどの並列計算テクノロジーと親和性が高く、30万変数規模のランダム3-SAT問題で既存SLSタイプのSATソルバーを凌ぐ計算速度を持つことを確認した。また、解釈遷移からの学習(LFIT)の微分可能化とニューラルネットワーク上での実装・ロバスト化を行った。
(C)論理式などの記号的知識表現と画像や数値データなどの連続データ分析を組み合わせた手法として、テンソル意味論をベースにした手法の開発を行った。また、深層論理プログラミング言語T-PRISMの応用先の調査および簡易的な実験を行った。他の生物学応用として、新型コロナウイルスの生体内感染動態の解析に着手した。
【研究代表者】