大規模生体データを用いたAIによる個人・集団レベルの創造性に関する実証研究
【研究キーワード】
創造性 / 洞察問題解決 / 計算論的アプローチ / fMRI / イノベーション / 拡散思考 / 収束思考 / Q学習 / 探索 / 活用 / 脳神経基盤 / グループダイナミクス / 強化学習 / 生体データ / 認知特性 / 集団力学 / AI
【研究成果の概要】
2021年度は、主に2つの実験を実施した。第一に、神戸大学の学部学生を対象とした大規模実験を実施した。具体的には、2020年度と同様、Psytoolkitでプログラムした心理実験(2腕バンディット)を、個人、ダイアド(2名のグループ)、トライアド(3名のグループ)に対して実施した。それに加え、今年度はAUT(alternative use test)テストを実施した。これは拡散思考、創造性を測定するテストであり、このテストによって、これらの個人、集団の創造性のパフォーマンスについても測定した。その結果、昨年度の研究では明らかにすることができなかったグループレベルでの学習特性が創造性パフォーマンスにどのような影響を与えているのかについて分析することができた。データ分析の結果、個人、グループの創造性のパフォーマンスは、リスク愛好度や探索志向性に大きく影響されることが明らかになった。また、創造性のパフォーマンスはダイアドが最も低く、個人、トライアドが高いパフォーマンスを示すことがわかった。これは昨年度に実施した認知課題に対しるパフォーマンスの個人、ダイアド、トライアド、テトラッド間での比較分析結果と整合的なものであった。
第二に、生理学研究所の協力を得て、2019年度、2020年度に個人を対象に実施したfMRI検査に対し、そのデータ解析を進めた。これらの年度では2つのfMRI実験を実施し、そのデータ解析の概要は得られている。それらの結果を1つの論文にまとめるため、検討を続けている。それに加え、今年度は2名のコミュニケーション活動を取り入れたうえで、同様のfMRI実験を実施した。ただし、実験実施時においてコロナ感染状況が悪化したため、当初予定していた被験者数を集めることができず、次年度に追試を実施していく予定である。
【研究代表者】