心理量・生理量・物理量の相互関係による感性計測システムの開発と商品企画への応用
【研究分野】感性情報学・ソフトコンピューティング
【研究キーワード】
感性観測 / マーケティング / マーケティング情報システム / 商品開発 / 商品企画七つ道具 / 感性品質 / 経験価値 / 一対比較法 / 感性計測 / 商品企画 / 製品開発 / 一対比較
【研究成果の概要】
本研究によって得られた新たな知見等の成果は以下の通りである。
1.人間の感性情報処理特性を心理量・生理量・物理量の相互関係により解明するため、注目情報を用いたマーケティング調査の基礎的研究として「アイカメラ」の提示画像及びデータ処理方法を確立した。さらに、その応用研究として、消費者のブランドバッグに対する視線と行動の比較を行った。
2.心理量の計測手法として重要な統計的官能評価手法について、代表的手法である「シェッフェの一対比較法」で一対比較が不完全な場合にも適用できるように改良した。さらに、一対比較の回数が最少(試料の個数と同数回)で適用できる「サイクリック一対比較法」を提案した。また、マーケティングや「商品企画七つ道具」で用いられるコンジョイント分析に応用することを提案した。
3.消費者に心理的・生理的に訴える「経験価値」の概念について、マーケティング、ブランド、心理学、感性品質といった関連領域の中で整理し、多面的な考察により「経験価値」のフレームワークを明らかにした。さらに「INAX」「日産自動車」「一澤帆布」「アルビレックス新潟」「末富」「松栄堂」「エルメス」「バーバリー」「バンダイ」「コクヨ」「ルイ・ヴィトン」「ポロ・ラルフローレン」「一力」「コーセー」の事例を通して顧客価値を高める商品開発の方法論としての有用性を明らかにした。
4.人間にとって「使いやすい」、「心地よい」機械や製品の企画・設計のためのマーケティング情報システムのフレームを構築するため、商品企画・設計のための感性情報処理システムの雛型としての「商品企画七つ道具」について、男性用化粧品、ウェブサイト、電気自動車、ノンフロン冷蔵庫、台所用洗剤、ランチジャー、空気清浄機、業務用空調機、食生活に関わる機審を対象に事例研究を行った。
5.複雑化・多様化する市場環境における新商品・新事業開発のマネジメントのあり方について、偶然や運任せではなく必然的にヒットする新商品や成功する新規事業を科学的に開発するための法則や方法論、マネジメントのあり方について、キリンビバレッジ「ファイア」「生茶」「聞茶」「アミノサプリ」、明治製菓「フラン」といったメガヒット商品の商品戦略、NTTドコモ「iモード」の開発、自動車企業の製品開発、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなど高級ブランドのデザイン・マネジメント、環境対応商品や廃棄物ビジネスを含む環境ビジネス等を取り上げて検討した。
6.最近注目されている感性工学および技術経営について、新商品開発との関わりを総括した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,100千円 (直接経費: 3,100千円)