情報処理過程のモデル化に基づく調性知覚の神経基盤の解明
【研究キーワード】
音楽知覚 / 音楽的期待 / 和音 / 計算モデル / 脳波 / 機械学習 / 知覚 / 調性 / 文脈効果 / 脳計測 / 計算モデリング
【研究成果の概要】
本研究は、音楽刺激聴取時に調性知覚を生じる現象の神経基盤を計算論的な立場から明らかにし、その情報処理が音楽刺激以外の時系列刺激に対する知覚においても共通して用いられているという仮説の検証を目的としている。
前年度に引き続き脳活動計測の実施を模索したが、状況が厳しく断念した。しかし複数の他研究者から共同研究の打診があり、実験データを提供いただいて分析するという形で間接的に当初の目標であった脳活動の検証を行っていく目途を付けることができた。想定されていた分析ではないため、データサンプルの偏りやラベルの不足等があるものの、現時点では当初仮説と矛盾のない結果が得られている。
全体としては前年度に検討したシミュレーションとオンライン実験を中心とする研究体制への移行を進めた。特に行動や脳活動を想定した時系列間の相互作用について、情報量尺度を用いた定量化手法の開発を進めた。前処理にあたる時系列の離散化については、距離の定義や最適化の過程を見直した結果、頑健な結果を得ることができるようになった。一方で情報量の計算については計算量やベースラインの設定など課題を残しているが、簡単なシミュレーション条件下においては相互作用の時間的な推移を定量化できることを確認した。また新たな取り組みとして、過去の計測データと深層学習を用いて調性知覚に対応する変数の存否を示す方法論を模索している。現時点では参加者応答のばらつきに対して過学習してしまう問題が克服できておらず、より一般的な知覚モデルを推定できるようにコスト関数の設計方法について見直しを進めている。
対外的には、前年度のシミュレーション実験の結果の一部を先行研究の紹介と併せて国内会議内で発表した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)