電気インピーダンス変化を用いた複合材料の履歴記憶型モニタリングシステム
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
複合材料 / 炭素繊維 / はく離 / モニタリング / 電気抵抗 / 電位差 / 電気抵抗変化 / ひずみ / マトリックス割れ / 無線 / 電気インピーダンス / 硬化 / CFRP
【研究成果の概要】
炭素繊維などの導電性繊維で強化された複合材料(CFRP)において,成形時の硬化度や成形不良,使用時のひずみや負荷履歴,点検時の破壊・損傷などのモニタリングは,成形コスト削減,使用時の健全性保証,点検コスト・時間の削減に直結するため重要な技術であり,個々にセンシング技術が発達してきている.例えば,熱硬化性樹脂の硬化度は成形時に市販の誘電率センサーを使用することでモニタリングが可能であり,また負荷時のひずみは市販のひずみセンサーを使用することでモニタリング可能である.点検時の破壊・損傷に関しては,簡便な評価方法が無く,申請者らが電気抵抗変化を利用した手法を提案してきた.これらのことから,同一センサーで成形時から使用時のひずみ,損傷などのすべてをモニタリング可能であり,この履歴を構造の履歴書として統一的に管理可能とするシステムが望まれている.本研究では導電性複合材料の成形から,使用時のひずみ,破損時の損傷までを同一の仕組みで統合されたシステムによってモニタリングする統合モニタリングシステムを新規に開発し,その履歴をオブジェクト化して統一管理することでモニタリングを高度化することを提案する.ハードとソフト面の統合化で,成形時からの情報をそのまま製品に保有した新しい製品履歴をソフトウエア的に作成可能となり,画期的な高度モニタリングシステムとなる.本研究では,3年間を通して,高度な硬化度モニタリング手法,ひずみモニタリング手法,マトリックス割れモニタリング手法,層間はく離モニタリング手法を実験的および解析的に検討し,高精度化を実現することに成功した.例えば,硬化度モニタリングにおいてはひずみや損傷モニタリングに利用可能な電極の一体成形時に1kHz付近の複数周波数の交流を負荷し,その電気容量の変化から簡便に硬化過程をモニタリング可能であることを実証し,ひずみモニタリングでは負のピエゾ抵抗のメカニズムを解明した.さらに繊維破断とマトリックス割れの分離や層間剥離の高精度簡便モニタリングを実証した.最後に複合材料をオブジェクト指向で捕らえることにより,複合材料オブジェクトのクラスを構築し,負荷に伴う変形解析を可能にした.また,複合材クラスのインスタンス変数に硬化からひじみ履歴,損傷履歴を入れることにより履歴記憶が可能なシステムを提案した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
島村 佳伸 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)