ランドスケープモデルによる健康・疾患状態の可視化と予測
【研究キーワード】
ランドスケープ / 慢性疾患 / 急性疾患 / 疾患の多様性 / 病態分類 / 予後予測 / 層別化 / 可視化 / 時系列分析 / 状態遷移モデル / 健康・疾患状態 / 発症・病態進行過程 / ランドスケープモデル / データ駆動科学 / 機械学習
【研究成果の概要】
令和3年度は、これまで取り組んで来た慢性疾患データに対するランドスケープ分析として引き続き、1.睡眠リズム障害への応用、および、2.心不全データへの適用、そして、新たな対象疾患領域として急性疾患データへの適用として、3.新興感染症、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデータ分析にランドスケープを応用する研究を実施した。
【睡眠リズム障害研究】全国180箇所の保育園で0歳から6歳までの乳幼児約7000人から記録された睡眠票のデータを解析して、アプリやサービスに展開するための睡眠リズムを判定するアルゴリズムの開発を行なった。睡眠覚醒パターンの時系列特徴量として波形のシェイプに着目したアルゴリズムを考案し、ブラックボックスではない解釈可能な特徴を用いて説明性のある分類手法を構築した。これを応用すれば、発達に応じた典型的な睡眠パターンの推移をランドスケープとして表現することも可能であると期待される。
【心不全研究】心不全で従来用いられて来た病態分類をさらに個別化・精密化するため、ランドスケープの発想を応用した。状態の近い患者が多く存在する領域を密度情報を保ったままなるべく近くに配置して2次元布置を求め、クラスタリングすることで、患者の多様性を表現する新たな層別化を実現した。実際に見出されたクラスタごとに予後に違いが見られたことから、新規の病態分類をデータ駆動的に実現するのみならず、臨床的にも有用な情報を得られる展望がある。
【COVID-19研究】症状が急激に変化する急性疾患の分析への応用として、COVID-19の症状の多様性の可視化、および感染流行の早期予測に取り組んだ。症状の組み合わせのランドスケープから見出した新たな層別化は死亡リスクとの関連が見出され、感染者数のダイナミクスのランドスケープからは感染流行の兆候を見出す新たな表現方法として有望であることが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)