サイバー空間における規範の生成と法原理の探究――法学・工学的アプローチ
【研究分野】基礎法学
【研究キーワード】
情報所有 / 知的財産法 / サイバー / インターネット / 正義 / 公平 / 法原理 / 情報技術 / 規範の進化 / 規範の遺伝アルゴリズム / 裁判外問題解決 / 著作権の制限 / フェア・ユース / セマンディックWeb / XML / プログラムの自動合成 / 進化ゲーム / 社会秩序論 / 財物 / 著作権 / セマンティックWeb / プログラミング / サイバースペース / 法規範 / 情報 / プライヴァシー
【研究成果の概要】
情報の所有の問題は、現実世界でも存在するが、サイバー空間においては質的に異なって、ディジタル化された情報として出現している。新しいデジタル情報技術や通信テクノロジーの発展によってこの情報の所有が新たな法的問題を引き起こし、またその定義が曖昧になっているために新たな対応が求められている。本研究では、サイバー空間の特性と柔軟性に着目した情報所有のあり方の多角的検討が前提であると考えて、情報工学や技術の急激な革新と全世界をネットする情報ネットワークの確立がもたらす、心理的抵抗など私たち人間の行動への影響を考慮し、電子技術や情報技術のレベルでの改善の可能性と課題を洗い出すことを試みた。
近年では、ソフトウェアなどの業界による近年の知的所有権の強化やインターネットへの対応は規制の強化を伴っているが、それを前提とした場合の情報に対する行動分析を行なった。これらの分析はシグナル理論や繰返しゲームを用いた検討や、情報技術などオンライン技術の発展や情報工学的な可能性と成果を取り入れた上で行なった。また、デジタル情報所有の法的インプリケーションは、オンライン技術や情報処理とも密接な領域であるため、サイバー空間の法規制の中心である財としての情報とデジタル情報の法的問題および法原理の探求を実証的に行った。ディジタル空間がもたらす社会メンバー間の変化に着目して、交換や分配の正義の基本原理および既存の人間・社会関係において通用してきた正義原理の質的変容の問題を検討した。サイバースペースでの情報所有原理というシステム設計にとって、倫理・信頼、自主規制、ガイドライン、社会規範、法規範・制定法という複眼的な規範レベルでの考察を行なった。
【研究代表者】