遺伝的アルゴリズムによる2次元濃淡画像からの3次元形状再構成
【研究分野】情報通信工学
【研究キーワード】
遺伝的アルゴリズム / 3次元形状 / 濃淡画像 / 陰影画像 / 形状復元 / 最適化
【研究成果の概要】
本研究では、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて、2次元濃淡画像(陰影画像)から物体の3次元形状を再構成するための手法を提案し、合成画像と実画像を用いた実験により、本手法の有効性を確認した。
本手法では、陰影画像からの形状復元を、与えられた陰影画像と同様な陰影画像を与える3次元形状を見つけ出すという一種の最適化問題と見なし、この問題にGAを適用した。ここでは、物体の3次元形状の候補を集団における一個体とし、個体が表す3次元形状から計算される陰影画像と、測定された陰影画像との相違により、核個体の適応度を表す。そして、GAの世代交替を繰り返し、最終的に最高の適応度を持つ個体の表す3次元形状を、復元した形状とした。この際、解の候補となる3次元形状の候補の総数が膨大となり、最適解を見つけ出すことが困難になるため、本手法では、対象物体に関する制約条件を用いて、候補となる3次元形状を制限し、最適解の探索の効率化を図った。
本手法のように遺伝的アルゴリズムを適用することのメリットとしては、逆問題の解法が不要だということが挙げられる。物体の3次元形状からその陰影画像を求めることを順問題、物体の陰影画像から3次元形状を求めることを逆問題とすると、本手法では、順問題しか扱わずに結果的に物体の陰影画像から3次元形状を再構成している。従来の陰影画像からの3次元形状再構成法は、この逆問題の解法を開発するというものであったために、例えば、物体表面の多重反射光が存在したり、物体表面の反射光が完全拡散面と見なせないような場合には、それぞれの状況に応じた逆問題解法としての特殊なアルゴリズムを必要としていた。これに対して本手法では、多重反射光や、鏡面反射光のことを考慮して3次元形状からその陰影画像を求めるだけで、これらの影響も考慮した3次元再構成を行うことが出来ると考えられる。そこで、今後はこのようなことを考慮した3次元形状再構成を行っていく予定である。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】1,100千円 (直接経費: 1,100千円)