逐次・非逐次融合型データ同化手法の創出
【研究キーワード】
データ同化 / 4次元変分法 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / レプリカ交換モンテカルロ法 / 地震波伝播 / 不確実性評価 / 粒子フィルタ / Ginzburg-Landau方程式 / フェーズフィールドモデル
【研究成果の概要】
理工学分野において、物理・化学等の理論に基づくモデルと観測・実験に基づくデータを比較することは、対象の理解を深め、かつその将来予測をする上で基本的なアプローチであるが、近年急速に進んでいる数値モデルの大規模化と観測データの大容量化に応じた比較手法の高度化が急務となっている。大規模モデルと大容量データをベイズ統計学に基づいて融合する計算技術であるデータ同化は、数値モデルからあらかじめ生成した複数のシナリオを観測データが入力されるたびに再構成する「逐次型データ同化」と、数値モデルから生成した単一のシナリオを観測データに適合するように最適化する「非逐次型データ同化」とに大別される。大規模データ同化を実施する場合には、計算機資源や計算時間の制約の観点からも圧倒的に非逐次型データ同化の方が有効であるが、数値モデルのコードに大掛かりに手を加える必要があり、実装の手間の観点から採用が回避される傾向にある。一方、逐次型データ同化は実装の手間が比較的小さく、また数値モデルをブラックボックスのまま取り扱うことも可能であるが、大規模モデルと大容量データを融合するためには大量のシナリオ数を必要とする。
本研究の最終目標は、現実的な計算時間と計算機資源で実行可能な、逐次型と非逐次型を融合したハイブリッド型データ同化手法の開発に挑戦することである。2021年度は、前年度までに開発した地震波動伝播シミュレーションモデルの高速化を行なった上で、非逐次データ同化の代表的手法である4次元変分法を実装することにより、地下構造の物性パラメータの最適化ならびにその不確実性評価を実施可能なコードを開発した。現在、逐次データ同化の一種であるレプリカ交換モンテカルロ法を実装することにより、4次元変分法における反復計算の効率化を図っており、今後のハイブリッド型データ同化手法の確立と実モデルへの適用に向けた見通しが立った。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)