ネットワーク取引法の実証的総合研究
【研究分野】民事法学
【研究キーワード】
電子マネー / EFT / EC / デビッドカード / 認証 / 消費者保護 / ネットワーク / セキュリティ / 資金移動取引 / 電子商取引 / 取引法 / 暗号化 / EDI
【研究成果の概要】
平成9-10年度、二年間の研究内容は、以下のように要約できる。
第一に、電子マネー及び電子資金移動決済(EFT)に関しては、英・米・仏等各国の実態調査及び各国の研究者・実務家との意見交換を一方で行うとともに、他方で、我国で開始された実証実験や国内の実務家(例、森綜合法律事務所)ないし金融機関(日本銀行金融研究所)とも頻繁に交流し、まず実態の調査分析に重点をおいた。
第二に、電子商取引分野(Electronic Commerce)に関しては、海外では主としてOECDにおいて、この分野の諸問題(個人情報保護、消費者保護)に対するEUの取り組みを調査し、国内では、企業および金融機関における対応を実態調査し、両者を比較・分析した。
第三に、本研究自身による実証実験については、ICカード利用による自前のシステム構築を検討したが、コストの点で断念し、電子マネー関係の実証例の経験豊富な日立にシステムを利用し、フロッピーディスク使用による研究分担・協力者間で、実験を行った。
次に、主要な研究成果は、以下の通りである。
第一に、上記第一と第二に関しては、内外の調査結果および、その法的検討や評価を含めた論文報告集を、冊子体で提出するほかに、『ネットワーク取引法の諸問題』(仮題、商事法務研究会1999年刊行予定)を出版する。この著作には、研究分担者他、内外の実務家研究者の論考も含まれ、この分野の現在の学会状況を伝えるものとなろう。
第二に、今回の研究の一貫として、Richard Susskind氏の著書『The Future of Law (OUP)』の翻訳出版計画(商事法務研究会)が進行中である。
第三に、実証実験により、デジタル情報の共同利用につき、特定範囲の利用者間では高いセキュリティが確保されることが確認されたが、オープン利用には課題が残された。
【研究代表者】