Identification and Estimation of Regression Models with a Misclassified and Endogenous Binary Regressor
【研究キーワード】
識別 / 内生的二値説明変数 / 操作変数 / 共変量 / 計量経済学 / 内生性
【研究成果の概要】
経済学の実証研究において、二値説明変数が誤分類されて記録されることは、自己申告による学歴や、自己申告による職業訓練への参加などでしばしば見られる。例えば、Black et al. (2013, Journal of the American Statistical Association)の調査では、アメリカの1990年国勢調査で専門職学位を所持していると報告した人の66%だけが本当に専門職学位を持っていることが明らかとなった。
本研究は、内生的な二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルにおける識別問題と推定問題を研究する。特に、操作変数が内生的二値説明変数の測定誤差と相関しているモデルを、共変量を利用して識別する可能性を追求する。
既存研究は、内生的な二値説明変数が誤分類されているモデルを、二値説明変数の測定誤差から独立である操作変数を用いて識別している。これらの研究では、操作変数は外生性と二値説明変数の測定誤差から独立という二つの除外制約を満たす必要がある。
しかしながら、実証研究においては、これらの除外制約を満たす操作変数を見つけることは容易ではない。特に、内生的な二値説明変数が自己申告された変数である場合には、虚偽の申告を行う動機が操作変数の影響を受ける可能性があるため、操作変数と二値説明変数の測定誤差が相関する可能性がある。
本研究は2020年度に、内生的二値説明変数が誤分類されている計量経済モデルを、
一つの二値操作変数と一つの二値共変量を用いてノンパラメトリックに識別できることを証明した。本年度は、実際の実証研究で利用されたデータを用いて、2020年度に証明されたノンパラメトリック識別法を実際のモデルにおいてどのように適用するか、特にどのような操作変数と共変量を使うことが可能であるかを検討した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)