約60年ぶり2例目の単純立方構造の単体結晶を発見
~電子線を用いた結晶生成により不安定な結晶構造の観察を実現~(低温科学研究所日本学術振興会特別研究員(PD)榊原雅也、教授 木村勇気)
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 未知の機能や性質を持つ革新的マテリアル探索への貢献に期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
非平衡/分子動力学シミュレーション/電子線/融点/銀ナノ粒子/シミュレーション/その場観察/ナノサイズ/ナノ粒子/第一原理/第一原理計算/電子顕微鏡/透過電子顕微鏡/動力学/分解能/分子動力学/結晶構造/高分解能
2026年10月21日
北海道大学
鳥取大学
科学技術振興機構
発表のポイント
●電子線による分解反応を利用して、単純立方構造を持つ未知の銀結晶の形成に成功。●生成過程とその後の変化を連続的に観察することで、発見した結晶の高い反応性を確認。
●未知の機能や性質を持つ革新的マテリアル探索への貢献に期待。
発表概要
北海道大学低温科学研究所の榊原雅也博士、山﨑智也准教授、木村勇気教授らの研究グループは、鳥取大学学術研究院工学系部門の灘 浩樹教授、北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターの國貞雄治准教授と共同で、高分解能の透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、電子線照射による化学反応で銀結晶が生成する様子を原子レベルで直接観察することに成功しました。この観察により、ナノサイズの銀結晶ではこれまで知られていなかった単純立方構造が形成されることを明らかにしました。研究グループは、TEM内でヨウ化銀(AgI)に電子線を照射して分解することで、銀の結晶が融点よりも極めて低温の環境で生成する様子をその場観察しました。その結果、AgIの分解では、通常の銀がとる面心立方構造とは異なり「単純立方構造」をとる銀ナノ粒子が生成することを突き止めました。また、生成した結晶のTEM連続観察から単純立方構造の銀結晶は安定相である面心立方構造の銀結晶に比べて高い化学反応性を示すことが確認されました。さらに、分子動力学シミュレーション及び第一原理計算から、単純立方構造は孤立した銀結晶では安定でなく、ナノサイズに特有の表面/界面効果によって安定化されている可能性が明らかになりました。本成果は、物質が形成される瞬間を観察しながら未知の結晶構造を探索する新たなアプローチを示すものであり、今後の新材料探索につながることが期待されます。
なお、本研究成果は、日本時間2026年10月21日(水)公開のNano Letters誌にオンライン掲載されました。
論文名:Electron-Beam-Assisted Formation of Simple-Cubic Silver(電子線照射による単純立方構造をもつ銀結晶の生成)
URL:https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.6c03635
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本研究の概念図。従来の準静的な結晶生成では安定相が選択されるが、本研究では低温での電子線分解を用いることで安定性の低い非平衡相の凍結・観察を実現した。
北海道大学 研究