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金沢大学 研究Discovery Saga
2026年10月9日

燃料電池触媒インクは「混ぜる前」が重要

―白金触媒の初期凝集状態がその後の分散と触媒利用性に影響―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
高性能かつ再現性の高い燃料電池電極の製造プロセス設計への活用が期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学化学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
ミキシング/最適化/高分子/プロセス設計/固体高分子形燃料電池(PEFC)/電池/燃料電池/カーボン/レオロジー/電気化学/SEM/電気化学測定
理工研究域機械工学系、教授 辻口 拓也TSUJIGUCHI, Takuya
2026/10/9

概要

金沢大学理工研究域機械工学系のマディハ・ミスカン博士研究員、辻口拓也教授、東京大学大学院工学系研究科の田中暉久助教、長藤圭介教授、株式会社堀場製作所開発本部の櫻本啓二郎らの共同研究グループは、固体高分子形燃料電池(PEFC)(※1)の触媒インクにおいて、アイオノマーを加える前の白金担持カーボン(Pt/C)の凝集状態が、その後の分散挙動と白金触媒の電気化学的利用性に大きく影響することを明らかにしました。
 燃料電池の電極は、Pt/C触媒(※2)、アイオノマー(※3)、溶媒などからなる「触媒インク」を塗布・乾燥して作製されます。これまで、溶媒組成やアイオノマー量、混合・分散条件の最適化が広く研究されてきましたが、触媒インクを作製する前のPt/C触媒の凝集状態そのものが、その後のインク形成にどのような影響を与えるかは十分に明らかになっていませんでした。本研究では、Pt/C触媒をあらかじめ水中で異なる時間プレミキシングすることで、アイオノマー添加前の凝集状態を意図的に変化させ、その後の触媒インク形成過程を粒子径分布、レオロジー特性(※4)、SEM-EDX分析(※5)、電気化学測定により系統的に評価しました。その結果、適度なプレミキシングによって小さく比較的均一なPt/C凝集状態を形成すると、その後の分散が進みやすくなり、高い電気化学的表面積(ECSA)(※6)が得られることが分かりました。一方、過度なプレミキシングではPt/C触媒が再凝集し、その後長時間分散しても崩れにくい凝集構造が残り、Ptの電気化学的利用性が低下することが示されました。
 これらの知見は、燃料電池触媒インクの製造において、単に「どのように混ぜるか」だけでなく、「混ぜ始める前に触媒をどのような状態にしておくか」を制御することが重要であることを示しています。今後、高性能かつ再現性の高い燃料電池電極の製造プロセス設計への活用が期待されます。
 本研究成果は、2026年8月13日に国際学術誌『Chemical Engineering Journal』のオンライン版に掲載されました。

研究詳細

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