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九州大学 研究Discovery Saga
2026年10月5日

代替PFASの安全性に新たな知見

―PFBSが発生期の代謝と器官機能に影響 農学研究院 謝家暉 准教授

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/持続可能な開発/水環境/フッ素/安全性評価/脂質代謝異常/遺伝子発現解析/神経発生/発現解析/心臓/発生学/スルホン酸/細胞死/ストレス/遺伝子/遺伝子発現/酸化ストレス/脂質/脂質代謝/脂肪肝
2026.10.02 研究成果Life & HealthEnvironment & Sustainability

発表のポイント

PFOS・PFOAなど従来型PFAS(有機フッ素化合物)の規制が進む一方、代替PFASの安全性情報は十分ではありません。日本では2025年、PFBSが水環境の「要調査項目」に追加されました。
ゼブラフィッシュ胚をPFBSに曝露すると、体内に蓄積し、糖・脂質代謝が乱れました。続いて酸化ストレスや細胞死が増え、心臓機能、顔面形成、神経発生、視覚機能にも影響がみられました。
短鎖型で蓄積しにくいとされる代替PFASでも、発生期の生物に影響を及ぼす可能性があります。本研究は、新しいPFASの安全性評価に役立つ基礎データです。

発表概要

 PFASは、幅広い産業用途で使用されてきました。近年、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)への規制が進む一方、代替として使用される新しいPFASについては、その安全性に不明な点が残されています。
 今回、九州大学大学院農学研究院の謝 家暉准教授を中心とする国際共同研究グループは、短鎖PFASの一種であるPFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)について、ゼブラフィッシュを用いて発生期への影響を解析しました。その結果、PFBSが代謝のバランスを乱し、細胞ストレスを引き起こすことで、複数の器官の発生や機能に影響する可能性を明らかにしました。
 研究では、PFBS曝露によって糖や脂質の代謝異常、酸化ストレス、細胞死が増えるとともに、心臓機能、顔面形成、神経発生、視覚機能にも変化が認められました。遺伝子発現解析と生理・発生学的解析を組み合わせることで、PFBSによる発生毒性を多面的に評価しました。
 本研究グループはこれまで、従来型PFASであるPFOSによる脂質代謝異常や脂肪肝との関連を報告し、さらにPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)についても代謝異常や酸化ストレスを介した発生影響を明らかにしてきました。今回のPFBS研究は、こうした一連の研究を新しい代替PFASへと発展させた成果であり、短鎖PFASについても代謝の乱れを原因とする生物影響に注意する必要性を示しています。本研究成果は、国際学術誌「Journal of Hazardous Materials Advances」に2026年9月28日(月)(現地時間)に掲載されました。



短鎖PFASの一種PFBSは、ゼブラフィッシュにおいて代謝異常と細胞ストレスを引き起こし、発生に影響を及ぼす可能性が示唆された。 ※本画像は、謝准教授のアイデアをもとにChatGPTで作成しています。
研究者からひとこと
PFOSやPFOAの規制が進む一方、代替PFASの安全性データは十分ではありません。『代替だから安全』と仮定せず、一つずつ科学的に評価することが重要です。(謝 家暉)

論文情報

掲載誌:Journal of Hazardous Materials Advances
タイトル:Perfluorobutane sulfonate induces metabolic stress leading to cellular stress and developmental defects in zebrafish embryos
著者名:Zulvikar Syambani ULHAQ, Delbert Almerick T BONCAN , Da-Wei LIU , Chen HSU, Jingru QIN, Jen‐Kun CHEN, May-Su YOU, Ting Fung CHAN, Yukiko OGINO, Yun-Jin JIANG, Keng Po LAI, William Ka Fai TSE
DOI:10.1016/j.hazadv.2026.101596
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