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九州大学 研究Discovery Saga
2026年9月29日

香川県産ヒノキ根精油が睡眠状態の改善に役立つ可能性

中高年女性を対象とした自宅実験において睡眠初期の脳活動と中途覚醒時間の変化を確認 農学研究院 清水邦義 准教授

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
十分に活用されていないヒノキ根の高付加価値化につながることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域数物系科学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
主観評価/デルタ/心身の健康/脳活動/クロスオーバー/持続可能/持続可能な開発/ヒノキ/EEG/日常生活/神経細胞/睡眠/脳波
2026.09.28 研究成果Humanities & Social SciencesLife & HealthMaterialsEnvironment & Sustainability

発表のポイント

中高年女性は睡眠の問題を抱えやすく、睡眠の質を維持・改善することは、心身の健康を保つうえで重要な課題です。
香川県産ヒノキの根から蒸留した精油(KHREO)を就寝時に使用したところ、使用7日目には睡眠初期のデルタ波活動が増加し、使用13日目には中途覚醒の合計時間が有意に短縮しました。
脳波(EEG)(※1)、スマートウォッチによる睡眠指標、睡眠の主観評価の3種類の指標による評価から、KHREOが睡眠状態の改善に役立つ可能性が示されました。また、十分に活用されていないヒノキ根の高付加価値化につながることが期待されます。

発表概要

 中高年女性は睡眠の問題を抱えやすく、日常生活に取り入れやすい睡眠支援方法が求められています。
 九州大学大学院農学研究院の清水邦義准教授らと株式会社旺建(代表取締役 安守直敏)の研究グループは、35〜60歳の女性12名を対象に、香川県産ヒノキ根精油(Kagawa Hinoki Root Essential Oil:KHREO)(※2)が睡眠に及ぼす影響を自宅環境で検証しました。
 KHREOと無香料対照(スクワラン)をそれぞれ2週間ずつ使用する単盲検クロスオーバー試験(※3)を実施し、脳波(EEG)、スマートウォッチによる睡眠指標、睡眠の主観評価の3種類の指標による評価を行いました。その結果、KHREO使用7日目には、深い眠りに関連するデルタ波活動が増加しました。また、使用13日目には中途覚醒の合計時間が有意に短縮し、睡眠の主観評価でも、起床時の眠気および疲労回復に関するスコアの改善が認められました。
 本研究成果は、KHREOが睡眠状態の改善に役立つ可能性を示すとともに、これまで十分に活用されていなかった香川県産ヒノキ根の活用拡大につながることが期待されます。
 本成果は、Journal of Wood Science誌に2026年9月1日(火)(現地時間)に掲載されました。
香川県産ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の根



本研究では、これらの根から得られた精油が中年女性の睡眠をサポートする可能性を検討するとともに、これまで十分に活用されていなかった林業資源の高付加価値化についても検討しました。
研究者からひとこと
香川県産ヒノキの根は、これまで十分に活用されていなかった資源です。本研究では、その根から得られた精油が、睡眠初期の脳活動や中途覚醒時間に影響し、睡眠状態の改善に役立つ可能性を示しました。日常生活に近い環境で評価した点にも意義があると考えています。今後は、科学的根拠をさらに積み重ね、香川県産ヒノキの根の特性を生かした活用方法や用途を広げていきたいと考えています。(清水邦義)

用語解説

(※1)脳波(EEG:Electroencephalogram)
脳の神経細胞の活動に伴って生じる微弱な電気信号を記録したもの。睡眠時の脳の状態を客観的に評価するために用いられる。
(※2)ヒノキ根精油(KHREO)
香川県産ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の根部から、蒸留によって抽出された精油。本研究では、就寝前に吸入する香り刺激として用いられた。
(※3)単盲検クロスオーバー試験
実験参加者が、異なる条件を一定期間ずつ順番に体験する試験方法。本研究では、参加者が精油条件と無香料条件をそれぞれ体験し、同一人物内で比較を行った。

論文情報

掲載誌:Journal of Wood Science
タイトル:Sleep Improvement by Kagawa Hinoki Root Volatiles in Middle-Aged Women: A Home-Based Pilot Study
著者名:Fadilla Zennifa, Akiko Isa, Erika Tomimatsu, Yanli Xu, Ryuma Taki, Hiroo Yasutomi, Naotoshi Yasumori, Kuniyoshi Shimizu
DOI:10.1186/s10086-026-02296-3
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