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九州大学 研究Discovery Saga
2026年9月25日

九州大学伊都キャンパスと糸島市内で新種の甲虫を発見

そっくりな2種が同所に生息―博物館標本との比較が新種発見の決め手に 総合研究博物館 丸山宗利 准教授

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学農学
【Sagaキーワード】
生殖/比較研究/生物資源/生物多様性
2026.09.24 研究成果Environment & Sustainability

発表のポイント

九州大学伊都キャンパスを含む福岡県西部で、外見ではほとんど区別できないハネカクシ科甲虫の新種を発見した。
新種は、これまで日本で普通種と考えられていた近縁種と同じ場所・同じ環境に生息しており、雄と雌の生殖器の比較によって初めて新種であることが明らかになった。
九州大学総合研究博物館に保存されていた標本との比較が、新種の確認に重要な役割を果たし、博物館コレクションが新たな発見を生み出す学術基盤であることを示した。

発表概要

 昆虫には、外見ではほとんど区別できないにもかかわらず、詳しく調べると別種であることが判明する「隠蔽種(※1)(クリプティック・スピーシーズ)」が数多く存在します。そのため、新種を発見するには、精密な形態観察に加え、博物館標本との比較が欠かせません。
 九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授、九州大学大学院生物資源環境科学府の大学院生である奥村哲偲(てっさい)氏と橋爪拓斗氏らの研究グループは、九州大学伊都キャンパスおよび糸島市で採集したハネカクシ科甲虫を詳しく調査した結果、新種を発見し、イトセミゾヨツメハネカクシOmalium yasuhikoiと命名しました(科学的な命名は学名のみ)。本種は、日本で広く見られるセミゾヨツメハネカクシOmalium japonicumと極めてよく似ていますが、雄・雌の生殖器の構造には明瞭な違いがあり、独立した種であることが明らかになりました。また詳しく見ると、胸部の形態にも違いが認められました。
 本研究のきっかけは、『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』(2022)の制作に伴う福岡市西部と糸島市での調査でした。その後の追加調査では、九州大学伊都キャンパスでも多数の個体が発見されました。さらに、九州大学総合研究博物館に長年保存されてきた標本との比較研究によって、新種であることが確定しました。今回の成果は、大学キャンパスが貴重な生物多様性の生息地であることを示すとともに、博物館コレクションが新たな発見を支える重要な研究基盤であることを示しています。
 本研究成果は2026年9月9日(現地時間)にZootaxa誌に掲載されました。
参考図



 九州大学総合研究博物館では現在、約176万点に及ぶ標本を未来へ引き継ぐため、寄附金事業「標本整備・保存・活用プロジェクト―発見を生むコレクションを、次の100年へ―」を進めています。本研究は、長年にわたり収集・保存されてきた標本が、新たな発見を支える重要な学術資源であることを示す好例であり、標本を適切に保存・活用し次世代へ継承していくことの重要性を改めて示しています。
総合研究博物館 標本整備・保存・活用プロジェクト ―発見を生むコレクションを、次の100年へ―の創設とご支援のお願い

用語解説

(※1) 隠蔽種
外見が非常によく似ていて区別が難しいが、遺伝的・生殖的には異なる別種。

論文情報

掲載誌:Zootaxa
タイトル:A new species of Omalium Gravenhorst, 1802 (Coleoptera: Staphylinidae: Omaliinae) closely resembling O. japonicum Sharp, 1874, discovered in sympatry in Kyushu, Japan【邦訳:日本・九州で同所的に発見された、セミゾヨツメハネカクシ (Omalium japonicum) に酷似するセミゾヨツメハネカクシ属 (Omalium) の新種】
著者名:丸山宗利・奥村哲偲・橋爪拓斗
DOI:10.11646/zootaxa.5875.6.4
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