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京都大学 研究Discovery Saga
2026年9月10日

幼児期の腸内細菌叢とその後の問題行動をつなぐ 「感情をコントロールする力」

― 3歳から5歳までの縦断研究 ―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域医歯薬学
【Sagaキーワード】
人工知能(AI)/心身の健康/実行機能/細菌/細菌叢/縦断研究/腸内細菌/腸内細菌叢/認知機能
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

研究者情報

研究者名
明和 政子

京都大学 教育研究活動データベース

概要

実行機能とは、目標達成に向けて思考や行動、感情を適切に制御・調整する高次認知機能です。幼児期は、実行機能が著しく発達すると同時に、腸内細菌叢も成人に近い構成へと成熟する重要な時期です。これまでの研究では、幼児期の腸内細菌叢と実行機能、とくに感情制御に関わる側面との関連が報告されてきました。しかし、こうした腸内細菌叢と感情制御との関連が、その後にみられる不安や引きこもりなどの「内在化問題」、多動や攻撃性などの「外在化問題」にどのようにつながるのかはわかっていませんでした。京都大学大学院教育学研究科の明和政子教授らの研究グループは、日本人幼児68人を3歳から5歳まで縦断的に追跡し、腸内細菌叢、実行機能、内在化・外在化問題の関連を検討しました。その結果、3歳時点の Coprobacillus属の相対存在量が多いほど同時点の感情制御の困難さが大きく、さらに、その感情制御の困難さを介して5歳時点の内在化・外在化問題のリスクと関連することがわかりました。また、5歳時点では、Granulicatella属の相対存在量が少ないほど実行機能の困難さが大きく、実行機能を介して内在化問題のリスクと関連することも明らかになりました。本研究により、幼児期の腸内細菌叢とその後の内在化・外在化問題との発達的な関連に、実行機能、とくに感情制御が関与する可能性が示されました。
 本研究の成果は、2026年9月6日に国際学術誌「Journal of Affective Disorders Reports」にオンライン掲載されました。
画像

幼児期の腸内細菌叢は、この時期の感情制御を介してその後の問題行動と関連する(作成者:明和政子 生成AI(ChatGPT GPT-5.6 Sol)を活用して作成)

研究者のコメント
 「本研究は、たいへん多くの方々のご協力によって実現しました。ご参加、ご協力いただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。これからの時代を生きる次世代の心身の健康を支えていくためには、ヒトの発達のしくみを丁寧にひもとく基礎研究をひとつひとつ積み重ねていくことが必要です。本研究の成果が、今後の研究のさらなる発展とともに、生物としてのヒトがどのような環境で育ち、心と身体を発達させていくのかを理解する一助となり、よりよい支援へとつなげていくための羅針盤となれば幸いです。」(明和政子)

詳しい研究内容について

幼児期の腸内細菌叢とその後の問題行動をつなぐ 「感情をコントロールする力」 ― 3歳から5歳までの縦断研究 ―

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.jadr.2026.101159
【書誌情報】
Masako Myowa, Hideaki Fujihara, Kairi Baba, Satoshi Watanabe, Aya K. Takeda, Michiko Matsunaga (2026). Emotion Regulation Difficulties as a Developmental Pathway Linking Early-Life Gut Microbiota Composition to Subsequent Problematic Behaviors: A Longitudinal Study.Journal of Affective Disorders Reports, 101159.

関連部局

教育学部・教育学研究科