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横浜市立大学 研究Discovery Saga
2026年8月7日

大学院生 本多 萌恵さんが、イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2026で優秀発表賞を受賞!

フロリゲンが花をつくるもっとも最初のイベントを解明

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
フロリゲンは植物の環境適応から農業生産まで極めて重要な役割を果たしている
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域生物学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
ワークショップ/維管束/生殖/環境適応/持続可能/持続可能な開発/フロリゲン/イネ/発生学/イミン/幹細胞/細胞分裂/遺伝学/遺伝子/分子生物学
2026.08.07
TOPICS
学生の活躍
理学部

概要

生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程1年の本多 萌恵さんが、2026年7月18日、19日に横浜市立大学・木原生物学研究所で開催されたイネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2026において、「フロリゲンがメリステムで最初に引き起こす変化は何か?」について発表し、優秀発表賞を受賞しました。この発表賞は「感動」「ときめき」「ありがたい」の3カテゴリーで審査され、本多さんは「ときめき」発表賞に選出されました。

本多さん 受賞者
生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程1年
(木原生物学研究所 辻研究室)
本多 萌恵ほんだ もえ
さん

指導教員
辻 寛之教授(木原生物学研究所)

受賞内容
イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2026
優秀発表賞

発表題目
「フロリゲンがメリステムで最初に引き起こす変化は何か?」 今回の発表内容について本多萌恵さんに解説していただきました。
植物が花を咲かせるには、フロリゲン*1が茎頂メリステム(SAM)*2に到達することが必要です。フロリゲンがSAMに到達することで、葉をつくっていたSAMは成長相転換*3を経て、花器官をつくるように転換します。つくる器官が大きく変わることに伴って、SAMでは非常にさまざまな変化が生じることが知られています。しかし、フロリゲンが最初に引き起こす変化が何か、というのは明らかではありませんでした。私は、フロリゲンが最初に引き起こすイベント、すなわち成長相転換の最初期に生じる変化を明らかにすることを目的として、研究を進めました。
本研究では、直径が50 um程度であるSAMをとにかく大量に、しかもすべて3Dで観察し続ける、という手法を用いることで、これまでにわかっていた「最初の変化」の前に3段階の変化が生じていることを明らかにしました。さらに、フロリゲンが活性化する遺伝子の発現が、SAMを構成する細胞で一斉に始まるのではなく、離散的に開始していること、その発現開始パターンが、フロリゲンがターゲットとしている遺伝子どうしでも異なっていることを明らかにしつつあります。これらの結果は、フロリゲンに対して、SAMを構成する細胞ごとにばらついた応答を示しながら、しかし成長相転換という現象はSAM全体で一斉に進行することを示唆しています。

授賞式での様子(本多さんと大学公式キャラクター ヨッチー) 本多 萌恵 さんのコメント
このたびは「ときめきのある研究」として、このような賞をいただくことができ、とても光栄です。本研究を進めるにあたって、辻先生をはじめとした辻研究室の皆さま、共同研究者の皆さまにはディスカッションのお時間をいただくなど、非常に多くのサポートを賜りました。心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後も面白い研究にまい進してまいります。 指導教員 辻 寛之 教授のコメント
本多萌恵さん、イネワークショップでの受賞おめでとうございます! これまで本当にたくさんのイメージング実験などを積み重ねてこられたので、本多さんの発表がたくさんの方々が「ときめき」を持って受け取られたことをとてもうれしく思います。
また、今回のワークショップでは受賞されたイネの研究の口頭発表に加えて、理数マスターで理学部1年のときから取り組んできたナギイカダのポスター発表もされて、とてもすばらしいと思います。理数マスターの研究とイネの研究の二本立てでの発表は大変だったと思いますが、本当に丁寧に両方の準備をされたと思います。
あらためて受賞おめでとうございます。これからもわくわくする研究をして、楽しいサイエンスの時間を紡いでいきましょう!

用語説明
*1 フロリゲン:茎頂メリステムで成長相転換を引き起こす因子。イネではHd3aと呼ばれる球状のタンパク質である。フロリゲンは植物が花をつけるのに適した季節を認識すると葉で合成され、維管束を通って茎の先端まで輸送され、茎頂メリステムにたどり着くと成長相転換を引き起こす。フロリゲンは植物の環境適応から農業生産まで極めて重要な役割を果たしていることから、その発生学的な働きを解明することで幅広い領域への貢献が期待されている。

*2 茎頂メリステム(SAM):茎の先端にある直径わずか50ミクロンの極小の組織茎頂メリステムにある幹細胞と呼ばれる細胞群から細胞分裂で生じた細胞が成長すると花、茎、葉など植物の地上部すべての器官が形成される。

*3 成長相転換:植物が葉を作る状態から花を作る状態に変化すること。茎頂メリステムは発芽して以降、最初は、葉をつくり続ける「栄養成長相」であるが、その後、花をつくるのに適した季節の到来を感知すると、葉をつくるのをやめて花をつくる「生殖成長相」へ相転換する。成長相転換のタイミングの決定は、植物が個体として生き残るためにも種として生き残るためにももっとも重要なイベントであると同時に、人類の生存を支える農業生産のうえでも最重要なイベントである。





横浜市立大学理学部理学科 生命環境コース 横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科 Tsuji Lab