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福島県立医科大学 研究Discovery Saga
2026年8月7日

アシルシランのエナンチオ選択的シアノ化–Brook転位–プロトン化反応とα-ニトリルカルバニオン等価体を生成するBrook転位の立体化学

英国雑誌「Organic Chemistry Frontiers」掲載(2026年6月) Enantioselective cyanation–Brook rearrangement–protonation of acylsilanes and stereospecific inversion in Brook rearrangements generating α-nitrile carbanion equivalents

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
化学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
アニオン/キラル/不斉合成/不斉反応/選択性/立体化学/プロトン/寿命/有機合成


佐々木 道子(ささき・みちこ)
総合科学教育研究センター 教授
研究グループ
佐々木 道子, 武田 敬(広島大学)

概要

論文掲載雑誌:「Organic Chemistry Frontiers」 (2026年6月)


 キラルα–ニトリルカルバニオンは,有機合成における有用な反応中間体となり得る一方,容易に立体情報を失ってラセミ化するため,不斉反応への利用は極めて限られていた。本研究では,キラルα–ニトリルカルバニオンを形式的に発生させる手法として,アシルシランに対するエナンチオ選択的なシアニドイオンの付加と,それに続くBrook転位に着目し,以下の事実を明らかにした。
・アシルシランに対し,キラル相間移動触媒の存在下,二相系溶媒中でシアニドイオンを反応させると,シアノ化,Brook転位,プロトン化が連続的に進行し,O–シリルシアノヒドリンが最大92:8 erで得られる。
・形式的なα–ニトリルカルバニオン等価体を生成するBrook転位は,立体反転を伴って進行する。
・エナンチオ選択性は主に初期のシアノ化段階で導入されるが,シリケート中間体からの協奏的なプロトン化と,非局在化したα–ニトリルアニオンを経由する段階的過程との競合によって最終的な選択性が決定される。
 以上の結果から,本反応が不斉合成法として有用であるだけでなく,Brook転位が,短寿命かつ立体化学的に不安定なカルバニオン等価体の性質を解明するための有用な手段となることが示された。

問い合わせ先

公立大学法人福島県立医科大学 総合科学教育研究センター
電話:024-581-5561
HP:https://www.msk-chem.com
メールアドレス:misasaki@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)