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九州大学 研究Discovery Saga
2026年8月7日

環境倫理の伝え方が子どもの学びを変える

「ちょっとした」環境倫理の伝え方の違いでも児童の関心に差が生じることを、小学校21校で実証 基幹教育院・共創学部 木附晃実 准教授

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
環境倫理の伝え方を少し変えるだけでも児童の環境への関心に影響を与えることを世界で初めて実証
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域環境学数物系科学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
環境教育/環境倫理/再生可能エネルギー/気候変動/持続可能/持続可能な開発/環境問題/生物多様性/RCT
2026.08.07 研究成果Humanities & Social SciencesEnvironment & Sustainability

発表のポイント

環境教育では環境倫理(※1)の重要性が指摘されてきましたが、異なる環境倫理の伝え方が教育効果にどのような違いをもたらすのかは、これまで十分に検証されていませんでした。
小学校21校でランダム化比較試験を実施し、環境倫理の伝え方を少し変えるだけでも児童の環境への関心に影響を与えることを世界で初めて実証しました。
これまで十分に検証されてこなかった環境倫理の役割について、環境教育における議論が進むことが期待されます。

発表概要

 近年、気候変動や生物多様性の損失などの環境問題が深刻化する中、環境教育の重要性が高まっています。環境教育では、「人間の利益を重視する考え方」や「自然そのものの価値を重視する考え方」など、異なる環境倫理のもとで環境問題を教えることがあります。しかし、こうした環境倫理の伝え方の違いが、子どもたちの学びや環境への関心にどのような影響を与えるのかは、これまで十分に検証されていませんでした。
 本研究では、小学校21校でランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial: RCT)を実施し、環境倫理の伝え方を少し変えるだけでも児童の環境への関心に影響を与えることを世界で初めて実証しました。
 九州大学共創学部の木附晃実准教授、三木洋一郎教授、長谷千代子准教授、内田諭准教授、山本明日香准教授、藤岡悠一郎准教授、釧路市立博物館の野本和宏学芸員、貞國利夫学芸員、およびNPO法人環境把握推進ネットワーク-PEGの照井滋晴理事長からなる研究グループは、北海道釧路市の小学校21校において、授業内容は同一とし、「釧路湿原をなぜ保全するのか」という環境倫理の捉え方のみを変えた2種類の環境教育プログラムを実施しました。その結果、環境倫理の伝え方の違いによって、児童の釧路湿原や再生可能エネルギーへの関心に違いが生じることを明らかにしました。本研究は、環境倫理を教育実践の中で実験的に検証した世界初の研究です。
 本研究成果は、これまで理念的・理論的に議論されることの多かった環境倫理を、実証的に検証した点に大きな意義があります。今後、環境教育において環境倫理が果たす役割について議論が深まり、より効果的な環境教育プログラムや教材の開発につながることが期待されます。
 本研究成果は、2026年7月14日(日本時間)にElsevierが発行する国際学術誌『Ecological Economics』に掲載されました。
図1 本研究で実施した2種類の環境教育プログラム(論文 Figure 2 の日本語版)



(A)人間中心的な環境倫理に基づく説明



(B)自然中心的な環境倫理に基づく説明

用語解説

(※1) 環境倫理
人間と自然はどのような関係であるべきかを考える考え方。例えば、「自然は人間のために守るべきもの」という考え方や、「自然そのものが価値をもつため守るべきもの」という考え方などがある。

論文情報

掲載誌:Ecological Economics
タイトル:Does the framing of environmental ethics matter for the effectiveness of environmental education? Evidence from field experiments in elementary schools
著者名:Akinori Kitsuki, Yoichiro Miki, Chiyoko Nagatani, Kazuhiro Nomoto, Toshio Sadakuni, Shigeharu Terui, Satoru Uchida, Asuka Yamamoto, Yuichiro Fujioka
DOI:10.1016/j.ecolecon.2026.109150
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