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筑波大学 研究Discovery Saga
2026年8月5日

硝酸還元酵素が植物の「窒素の感じ方」を決める

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
根粒共生は、植物が窒素肥料に依存せずに生育できる仕組みであり、持続可能な農業の実現に向けて大きな期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
化学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
アンモニア/窒素固定/持続可能/持続可能な開発/土壌/分子機構/細菌
生物・環境


(Image by Miha Creative/Shutterstock)

概要

マメ科植物では硝酸などの窒素栄養によって根粒形成が抑制されます。本研究では、硝酸還元酵素が硝酸をアンモニアへと変換する窒素同化だけでなく、植物体内の硝酸量を調節することで外部硝酸に対する応答を制御し、根粒形成を調節する働きを果たすことを明らかにしました。
 マメ科植物など一部の植物は、根に形成する「根粒」に窒素固定細菌を共生させることで、大気中の窒素を利用しています。この根粒共生は、植物が窒素肥料に依存せずに生育できる仕組みであり、持続可能な農業の実現に向けて大きな期待が寄せられています。一方で、土壌中に硝酸などの窒素栄養が十分に存在する環境では、植物は根粒形成を抑制することが知られています。これは、窒素固定には多くのエネルギーを必要とするため、植物が土壌中の窒素栄養状態に応じて共生を調節する合理的な仕組みだと考えられています。しかし、植物がどのように体内の窒素状態を感知し、根粒形成の抑制につなげているのか、その分子機構には未解明な点が多く残されていました。
 本研究では、マメ科のモデル植物ミヤコグサを用いて、硝酸還元酵素(NIA)の機能を解析しました。その結果、NIAは硝酸をアンモニアへ還元する窒素同化酵素として働くだけでなく、植物体内の硝酸量を適切に維持することで、根粒形成に対する硝酸応答を制御する重要な役割を担うことを明らかにしました。さらに、NIAの機能が失われると植物体内に硝酸が過剰に蓄積し、本来であれば根粒形成が可能な低濃度の硝酸条件でも、根粒形成が強く抑制されることを発見しました。
 本研究は、硝酸還元酵素に、窒素同化だけでなく内部硝酸状態を介して根粒形成に対する硝酸応答を調節するという新たな役割を見いだしたものです。本成果は、根粒共生の制御機構の解明に新たな知見を提供するとともに、将来的には根粒形成の制御や窒素肥料使用量の削減を目指した持続可能な農業技術の開発への応用が期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
壽崎 拓哉 教授

掲載論文

【題名】
Nitrate Reductase Modulates Internal Nitrate Status and Nodulation Responses to Nitrate inLotus japonicus
(ミヤコグサにおける硝酸還元酵素による植物体内硝酸状態および根粒形成に対する硝酸応答の制御)
【掲載誌】
Plant and Cell Physiology
【DOI】
10.1093/pcp/pcag108

関連リンク

生命環境系