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横浜市立大学 研究Discovery Saga
2026年8月4日

木原生物学研究所 Fuhrmann Aoyagi Martina Bianca特任助教と木下 哲 教授の解説記事が「Nature Plants誌」のNews & Viewsに掲載

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
卵細胞/ヒストン/持続可能/持続可能な開発/変異体/シロイヌナズナ/精細胞/転写抑制/ゲノム科学/ポリコーム/受精/DNAメチル化/ヒストン修飾/メチル化/ゲノム/遺伝子/遺伝子発現

2026.08.04

発表概要

横浜市立大学 木原生物学研究所 Fuhrmann Aoyagi Martina Bianca特任助教と木下 哲 教授の解説記事が「Nature Plants誌」のNews & Viewsに掲載されました[1]。

植物では、卵細胞と中央細胞のそれぞれが精細胞と受精することによって種子中に胚と胚乳が形成されます。これまでに、胚乳発生がヒストン修飾を担うポリコーム複合体*1により抑制されていることは古くから理解されていました。例えば、シロイヌナズナのポリコーム複合体の構成因子の変異体では、受精なしでも中央細胞が分裂して胚乳様組織を形成します。しかしながら、他の因子がどのように協調的に働いているかについては不明でした。

本記事では、「Nature Plants」に掲載されたTIE1と呼ばれる転写抑制因子に関する論文[2]を取り上げています。この論文では、TIE1, TIE2, TIE3, TIE4の4重変異体を作成しており、ポリコーム複合体の変異体と同様に受精なしでも中央細胞が分裂することを示しています。また、ポリコーム複合体の構成因子の一つは母性インプリント遺伝子*2であることと同様に、TIE1も母性インプリント遺伝子であることが示されており、多くの共通点があります。本分野は、農学的な期待が高く多くの研究がなされています。本記事では、今後の課題や展望についても解説しています。


図1 TIE1はシロイヌナズナの中央細胞において胚乳発達のブレーキ役を果たしている
(A)野生型では、ヒストン修飾を担うポリコーム複合体とともに、胚乳発生に必要な遺伝子を抑制する転写抑制因子として機能している。(B)TIE遺伝子ファミリーの4重変異体では、胚乳発生に必要な遺伝子への抑制が働かなくなり、受精していないにも関わらず中央細胞の分裂が開始する。

論文情報

[1]タイトル:TIEing down the central cell proliferation
著者:Martina Bianca Fuhrmann-Aoyagi & Tetsu Kinoshita
掲載雑誌:Nature Plants
DOI:10.1038/s41477-026-02351-3

[2]タイトル:TIE1 acts as a maternal brake on fertilization-independent endosperm development by associating with PRC2 to enforce imprinting
著者:Zeliang Zhang et al.
掲載雑誌:Nature Plants
DOI:10.1038/s41477-026-02344-2

用語解説

*1 ポリコーム複合体:動植物に保存されたヒストン修飾を担う酵素複合体。遺伝子発現の抑制状態を維持する働きを担う。

*2 母性インプリント遺伝子:母親から遺伝した場合のみ遺伝子発現が誘導される遺伝子群。同じ遺伝子が父親から遺伝した場合は、ヒストン修飾やDNAメチル化により発現抑制をうける。種子サイズや胚乳の発生に影響する遺伝子が多く含まれるため農学的な見地からも注目されている。

問い合わせ先

横浜市立大学 広報担当
mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

解説記事
木原生物学研究所 植物エピゲノム科学部門